『セールス・ガールの考現学』
昨日4/28(金)から公開中!
モンゴルと言えば草原と遊牧民の映画しか観たことがなかったけど、こんなにキュートでポップな青春ムービーがあったなんて!
なんと、舞台となるのはモンゴルのイメージとはかけ離れたアダルトグッズ・ショップ。
冴えない地味な女の子、サロールが、友人の代わりにアダルトグッズ・ショップでアルバイトをすることに。
そこで様々な人たちと接し、オーナーのカティアと関わる中でサロールの世界が広がっていく。
両親に言われるがまま生きてきた少女が、ちょっぴり大人になって自分の道を自分の意志で歩き出す。こういうストーリーは大好き!
セックスには縁がなさそうでウヴ丸出しなのに、アダルトグッズの販売は淡々とこなすサロールのキャラクターがユニークで。
地味な格好をしていても素材の良さは一目瞭然。髪型とファッションが垢抜けたサロールの変わりようにはびっくり!どことなく堀北真希に似て、めちゃくちゃ可愛いのだ。
演じたバヤルツェツェグ・バヤルジャルガル(ながっ)は、オーディションで300人の中から抜擢され、本作で映画デビューしたそう。
彼女を新たな世界へと導く、酸いも甘いも噛み分けた大人の女、オーナーのカティアも魅力的で。何気なく発する名言の数々も心に沁みる。
カティア役のエンフトール・オィドムツは、本作で30年ぶりに復帰したベテラン女優とか。
2人が笑い合ったり、ケンカしたりしながら友情を深めていく姿が微笑ましく。
はしゃいで水をかけ合うのは青春映画の定番だけど、なんでかキノコをかけ合うとか(笑)唐突にミュージシャンが出てくる
トリッキーな演出も面白くて。
どことなく『ラブ・ゴーゴー』『1秒先の彼女』のチェン・ユーシュン監督と共通するセンスを感じた。
モンゴルの人気シンガーソングライターの曲も私好み。
さて今回の写真のアイテムは、サロールがアダルトグッズ・ショップでバイトするきっかけを作るバナナの皮を。
ベッタベタな使い方なのに、そんなベタささえも愛らしく感じてしまうから不思議。
2021年製作/123分/G/モンゴル
原題:Khudaldagch ohin
配給:ザジフィルムズ
映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。 朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。 映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲