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新鋭監督×魅力的なキャストで描く過激な青春
『真夜中乙女戦争』
思いの外よかった『チワワちゃん』の二宮健監督の最新作。
この一点に惹かれて、原作の存在も知らないまま鑑賞。
希望を持てず鬱々と生きる大学生の“私”の日常が、謎めいた男“黒服”との出会いで変わっていく。
やがて男のもとに多くの同志が集まり、様々な悪戯を仕掛け始めるが、彼らの言動はどんどん過激になっていく…。
この辺り『ファイト・クラブ』みたいと思ったら、原作のストーリー自体が『ファイト・クラブ』へのオマージュになっているそうで、二宮健監督は「(『ファイト・クラブ』公開時から)20年後の日本という観測地点から届ける1つのアンサーという思いで撮った」とインタビューで語ってた。なるほど、なかなか興味深い試み。
奨学金の返済と生活のために日雇いバイトをしてまで通う大学の講義は退屈で、やりたいこともなく、友だちもいない私。
そして実業家として成功しながら世の中に戦争を仕掛ける黒服。
世の中のシステムに疑問を持つことなく、順風満帆な人生を歩む先輩。
3人のキャラクターや置かれた環境に、現代社会の闇がある気がした。
年齢的にも性格的にも、世界も自分も壊したい!という主人公の想いに気持ちを乗っけることはできなかったけれど、共感の有無に関係やく惹き込まれる魅力ある映画だった。
まずはダークで妖艶な映像。
ライティングとカメラワークが素晴らしかった。
そしてキャスト。
“私”を演じたキンプリの永瀬廉は、ジャニーズのアイドルでこの役に挑戦する心意気も、虚な目と陰の雰囲気もよく。
もともと本人が持っているものかもしれないけど、陰の空気を持ってるのは、役者としては強みになるんじゃないかな。
さらに“先輩”役の池田エライザ。
彼女が艶やかに歌う「Misty」に悶絶。この歌だけでももう1度聴きたいぐらい。
そしてカリスマ性たっぷりに“黒服“を演じた柄本佑!
得体の知れない存在感と怪しげな笑顔が最高で、〝私”との出会いのシーンでは、「好きなのか?茎わかめ」の言い方と表情に思わず吹いた。
ということで、今回の写真は茎わかめをピックアップ。
それにしても、なんで茎わかめなんだろうw
映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。
朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。
映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲
シネピー♪二宮健インタビュー記事
監督 二宮健 出演 永瀬廉、池田エライザ、柄本佑、篠原悠伸、安藤彰則、山口まゆ、佐野晶哉、成河、渡辺真起子 音楽・撮影 堤祐介 配給 KADOKAWA (C)2022「真夜中乙女戦争」製作委員会 [ 上映時間:113分 ] 公式ホームページ https://movies.kadokawa.co.jp/mayonakaotomesenso/