不況下での労働者の悲惨な状況と、摂取する側との闘争を描いた小林多喜二原作の「蟹工船が発表されてから80年。
今若い人たちに爆発的に売れているそうですね。
あの頃に勝るとも劣らない世界的不況の中で、映画化されたのは、歴史的必然を感じます。
考えて行動を起こせ。
これは労働者のリーダーとなった新庄の演説で印象に残った言葉。
考えることを人間がしなくなったらどうするんだろう。流されていくだけの世の中だったら・・・
大切なのは今。人のせいにしたり、人の真似じゃなくて、自分で考えろ!そんなメッセージを訴えつつ
映画は原作をよりわかりやすく解釈して見事なエンタテイメントに仕上げています。
監督は、世界映画祭でも高い評価を得ているSABU監督。
初期〜中期の作品は、堤真一とよくタッグをくんでました。
MONDAYではじめてお会いして、ゴールド劇場の横にあったヒマラヤでケーキ食べて、
DRIVEで再会して
ミリオン座オープン記念の「疾走」の時は手羽先食べて・・
あれ?食べてばっか。
見た目が恐そうなのですが、腰が低くとても優しいんですよ。
ボソッと面白いことを言うので、それをちゃんと聞き逃すことなく突っ込むと・・・
ドンドン面白くなるのです。
おかげで、ブロレタリア文学最高峰といわれる蟹工船の話題から、大きくはずれてしまったけど。
蟹工場や、労働者が寝泊まりする通称「糞壺」といわれるセットはとてもリアル。
大きな歯車、ベルトコンベア、無数の管など全てが汚れて、黒くさび付いているのです。
これが美術の磯見さんとスタッフの創意工夫のたまもので、重苦しい空気感がスクリーンを通して伝わってきます。本物の鉄かと思えば、黒くぬった段ボールで作られたものが多いとか。
美術部さんは、セット作りにこだわり、監督が今日はもう帰ろうといって、帰るふりして、また現場でセットを作っていたんだって。
あと、監督は、デビュー作からそうですが、
弾丸ランナーも音にこだわっていた。今回も本を読んだとき、コンベアの音、機械音、プレス音などまず、音が浮かんだそうです。
もちろん監督お得意の、「走り」も見られます。今回は船の中のシーンが多いから諦めていたんだけど1箇所走るシーンあり。これがなきゃね!!
「ファンサービスです」と笑いながらゆーてました。おもしろっ。
摂取側の鬼監督を演じたのは、西島秀俊。
あの、優しく、柔らかい役が多い西島さんの、ドSぶり!
今まで見たことがない、表情で、ゾクゾクしちゃった!
労働者仲間の TKOのお二人の演技の上手さにもおどろきです。