たった80年前、日本の海は戦場でした。太平洋戦争の激戦を駆け抜け、多くの仲間を救い続けた一隻の駆逐艦。その名は「雪風」。奇跡の戦歴から“幸運艦”と呼ばれたその艦の、知られざる史実に基づく物語、映画『雪風 YUKIKAZE』が8月15日(金)より全国公開されます。

公開に先立ち、8月4日にミッドランドスクエアシネマ(名古屋)で舞台挨拶付き先行上映会が開催され、「雪風」艦長・寺澤一利を演じた主演の竹野内豊さん、若き水雷員・井上壮太役の奥平大兼さん、水雷長・佐々木伊織役の山内圭哉さんが登壇。本作に込めた熱い思いや、撮影の裏側を明かしました。
名古屋ならではのクロストークで会場は和やかに
広島、福岡に続く3か所目の舞台挨拶の地となった名古屋。MCの白井奈津さんから「名古屋といえば?」と尋ねられると、キャスト陣からローカルトークが飛び出しました。


「ひつまぶしが大好き」と即答したのは竹野内さん。「東京でもしょっちゅう食べますが、やっぱり本場は美味しい。焼いている香ばしい感じが大好きです」と、この日も弁当で堪能したことを嬉しそうに語ります。

一方、この日が“初名古屋”だと明かす奥平さんは「ずっとあんかけスパゲッティーが食べたかったんです!」と熱望。周囲から他の名物も勧められたそうですが、「今はあんかけスパゲッティーで頭がいっぱいです」と語り、会場の笑いを誘いました。

妻が名古屋出身で、年に何度も訪れるという山内さんは「大須商店街でブラジルの方がやっている鶏の丸焼きがうまいんです」と通な情報を披露。「クリスマスは行列ですよ」と語り、名古屋との深い縁を感じさせました。
「生きて帰る」—これまでの戦争映画とは一線を画すテーマ

和やかなトークから一転、話題は映画の核心へ。艦長という重責を担った竹野内さんは、最初に脚本を読んだ時の衝撃をこう語ります。「勇ましく戦う軍人を美徳とするのではなく、『必ず生きて帰る、生きて帰す、命を繋いでいく』ということが非常に大きなテーマになっていたんですね。これまでこのような戦争映画があっただろうか、というのが率直な第一印象でした」。その上で、「この戦後80年というタイミングで、このような映画を多くの日本の方々にご覧いただくことは、非常に大きな意味がある」と力を込めます。

戦争映画初参加となった奥平さんは、「知らないことがあまりにも多すぎて、日本で生きていく上でちゃんと知っておいた方がいいことだと痛感しました」と真摯にコメント。「この歴史を風化させないように、将来自分の子どもの世代にも伝えていかなければならない、と思いながら演じていました」と、若い世代としての責任感を口にしました。

艦内のムードメーカー的な水雷長を演じた山内さんは、本作の魅力を「緊張と緩和の描き方」だと述べます。「現場は男ばかりで、まるで男子校のよう。船という逃げ場のない極限状態だからこそ、仲間と冗談を言い合ったり、楽しく過ごそうとしたり、実際にもそうだったのではないかと感じましたね。とても正気ではいられなかったと思います」と、過酷な状況下での人間ドラマのリアルさに言及。
この言葉に深く頷いた竹野内さんは、「山内さんたちが和やかな良い空気を作って下さるので、数々の場面で助けられました。同時に、その明るいお芝居を見ていると、何とも言えない切なさも感じました」と応える。
「『対空戦闘用意!』の号令がかかれば、1時間後には誰も生きていないかもしれない世界です。そんな極限の緊迫感の中だからこそ、仲間を励まし合い、時には上下関係関係なく冗談を言うくらいでなければ、あの最前線で戦うことはできなかったのだと、改めて感じました」と、艦長としてクルーを見守る視点から語りました。
80年の時を経て、今私たちが受け取るべきバトン
最後は登壇者から観客へのメッセージで締めくくりました。
山内圭哉さん:
「日本は戦後80年間、戦争をしていません。これは世界的に見ても素晴らしいこと。この80年を100年、120年、200年に繋げていく、そのきっかけになる映画になればと願っています」
奥平大兼さん:
「僕らの普通の生活のために戦ってくださった方々がいたことを知り、その日常を守れる人間でありたいと思います。この映画が、歴史を知り、未来へ繋いでいくきっかけになれば嬉しいです」
竹野内豊さん:
「以前、仕事で訪れたサイパン島のジャングルで、おびただしい数の弾痕が残る建物を目にしました。その光景を前に、戦争はまだ終わっていないと感じたんです。戦争の実体験を聞ける機会が減り、人々の意識から戦争が薄れていく中で、平和を伝え続けてくださった方々から、今度は私たちがそのバトンをこの80年というタイミングで受け取るべきではないかと強く思っています。スクリーンを通して当時を生きた人々の心情を体感することで、この物語が皆さんの記憶に深く残り続けることを願っています」

豪華キャストが織りなす、知られざる史実に基づいた感動の人間ドラマ『雪風 YUKIKAZE』は8月15日(金)より、ミッドランドスクエアシネマほか、全国で公開します。彼らが繋いだ命の物語を、ぜひ劇場で体感してください。
取材・文 にしおあおい(シネマピープルプレス編集部)
作品紹介
映画『雪風 YUKIKAZE』
監督: 山田敏久
出演: 竹野内豊、玉木宏、奥平大兼、當真あみ、山内圭哉、田中麗奈、益岡徹、石丸幹二、中井貴一
主題歌: Uru「手紙」(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)
配給: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/バンダイナムコフィルムワークス
公式 https://www.yukikaze-movie.jp/
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