エリコのフォトdeシネマ♪ Vol.133『哀れなるものたち』

奇想天外で独創的な映像世界に陶酔!    『哀れなるものたち』

1/26(金)より大ヒット公開中

公開されて間もないのに、先行上映も含め多くの映画好きが鑑賞。大きな話題となっているこの作品。

『女王陛下のお気に入り』のヨルゴス・ランティモス監督×エマ・ストーンが再びタッグ。
天才外科医によって蘇生した頭は子ども体は大人の女性の内面の成長を描く冒険譚。

男性支配への批判、女性解放といったメッセージを感じるものの、エマ・ストーンが大胆な脱ぎっぷりで演じたベラの奇想天外なキャラクターと、
天才監督・ヨルゴス・ランティモスの独創的な世界観が強烈すぎて、社会的メッセージも何もかも全部吹っ飛ばされた。

何なのこの映画(笑)大好き!!

こうあるべき、という社会のルールに縛られず、本能のままに振る舞って、あらゆる経験を自分のものにしていく。無垢な心で世界に向き合い、
悦び、幸せ、恐怖、悲しみを知るベラを見ていて、世の中の常識や価値観に、疑問が湧いてくる不思議な感覚。

そしてグロテスクでアーティスティックなセット、美術、衣装、音楽、
怪奇映画の空気を纏ったモノクロと、鮮烈なカラーを使い分け、背景ぐるぐるボケ(ペッツバールレンズ)や魚眼を駆使しためくるめく映像世界に陶酔。
この奇妙な世界にもっともっと浸っていたかった。

全てをさらけ出したエマ・ストーンだけじゃなく、翻弄されて堕落するエキセントリックなマーク・ラファロ、
つぎはぎフェイスのウィレム・デフォーなど、脇を固める俳優陣も完璧。

ゴールデングローブ賞では、作品賞・主演女優賞を獲得。さらにアカデミー賞®でも作品賞・主演女優賞を含む11部門でノミネートされているそうで、どれだけ受賞するのかも楽しみ。

さて今回の写真のアイテムは2つ。まずは不味いと思えば即座に吐き出す(笑)ベラが、おかわりを要求するほど
気に入っていたエッグタルト。そして無一文となったベラが、自分の稼ぎで買ったエクレアを。身体で稼いだことを責める男に「お金と気付きを得たわ」
と言い放つベラがカッコよかった。

 

【ストーリー】

自ら命を絶った不幸な若き女性ベラ(エマ・ストーン)が、天才外科医ゴッドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)の手によ って奇跡的に蘇生することから始まる。蘇ったベラは“世界を自分の目で見たい”という強い好奇心に導かれ、放蕩者の 弁護士ダンカン(マーク・ラファロ)の誘いに乗り、壮大な大陸横断の冒険の旅へ出ていく。やがて貪欲に世界を吸収して いくベラは、平等と自由を知り、時代の偏見から解き放たれていくのだった。

■監督:ヨルゴス・ランティモス『女王陛下のお気に入り』 ■出演:エマ・ストーン、マーク・ラファロ、ウィレム・デフォー、ラミー・ユセフ ほか
■配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン ■北米公開:2023 年 12 月 8 日 ■製作年:2023 年

■製作国:イギリス ■原題:Poor Things 原作:「哀れなるものたち」(早川書房刊)
■コピーライト:©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
■公式サイト: https://www.searchlightpictures.jp ■公式 Facebook:https://www.facebook.com/SearchlightJPN/

映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)

Twitter @onabe11
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。
朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。
映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲載

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