『レスラー』で落ち目のスター、ミッキー・ロークを甦らせたダーレン・アロノフスキー監督作品で、今度はブレンダン・フレイザーが奇跡の復活!
272キロの余命わずかな男を熱演して、アカデミー賞で主演男優賞。加えてメイクアップ&ヘアスタイリング賞も獲得した注目作。
描かれるのは、272キロの巨漢で余命わずかなチャーリーの最期の5日間。愛と贖罪についての物語だ。
戯曲が基になっていて、舞台となるのはチャーリーの部屋のみ。そこを訪ねてくるのは宣教師の青年、チャーリーの友人で看護師の女性、疎遠になっていた17歳の娘の3人だけ。
その彼らとのやり取りの中で、チャーリーの過去や想いが明らかになってくる。
45キロのファットスーツを着用してチャーリーを演じたブレンダン・フレイザー。
『ハムナムトラ』シリーズが有名だけど、私的にはエリザベス・テイラーと共演したコメディ『悪いことしましョ!』が好きだった。
近年は全く名前を聞かなくなっていたけれど、体を張ったアクションのせいでケガが絶えず、キャリアも低迷。離婚、裁判、ハリウッドの権力者からのセクハラと、さまざまな辛い経験をしてきたのだそう。
そのブレンダン自身の経験が、チャーリーのキャラクターに生かされていて悲しみ、苦しみ、葛藤、後悔、娘への愛がヒシヒシと伝わる魂の演技に目が離せなかった。
ただ、この映画ハーマン・メルヴィルの「白鯨」や、キリスト教についての知識があるとより深く感じられると思う。
私は全くわかっていなかったので、モヤモヤしたところも…それでも十分楽しめたけれど、「白鯨」の内容を少し頭に入れておくといいかも。
さて今回の写真のアイテムは、部屋のあちこちに置かれてたペプシコーラ。
そしてほとんど動けないチャーリーが、2日間に1回(だったかな)は頼むデリバリーのピザ。
ピザの配達員・ダンとのエピソードは、なかなかに辛かった…。
作品概要 「ザ・ホエール」
出演:ブレンダン・フレイザー セイディー・シンク ホン・チャウ タイ・シンプキンス サマンサ・モートン 監督:ダーレン・アロノフスキー 原案・脚本:サミュエル・D・ハンター 製作総指揮:スコット・フランクリン タイソン・ビドナー 製作:ジェレミー・ドーソン アリ・ハンデル ダーレン・アロノフスキー 音楽:ロブ・シモンセン 撮影監督:マシュー・リバティーク 衣装デザイナー:ダニー・グリッカー 【2022/アメリカ/英語/117 分/カラー/5.1ch/ドルビーデジタル/スタンダード/原題:THE WHALE/ PG12】 字幕翻訳:松浦美奈 © 2022 Palouse Rights LLC. All Rights Reserved. 提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ 公式サイト:whale-movie.jp twitter:@thewhale_jp
映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。 朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。 映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲