ゆーと。のピースオブシネマVol.26「Winny」(公開中)

単純で複雑な物語

ほとんどWinny事件のことを知らずに観ましたが、とても楽しめました。

ゆーと
こんにちは。ゆーと。です。

映画「Winny」

今回は実際の事件を基に作られた「Winny」の紹介です。
日本が失った天才、金子勇さんの裁判の記録を描く今作ですが、まず主演の東出さんの演技が本当に素晴らしくて、観終わってから昔の金子さんの動画を見てみましたが、話し方の早口なところや、所作も本人にそっくりで、とてつもない役作りをしたんだろうと思います。
そして裁判所のシーンが多い作品なので、所々シリアスなのですが、緊張感を一気に和らいでくれる皆川猿時さんの安心感も良かったです。
皆川さんは、ITに関して詳しくないという主旨のセリフを言ってくれるので、僕も詳しくないので、ストーリーに置いてかれてないことが安心材料になりました。

天才を囲む残酷な社会と
大きな力に潰されていく新しい天才技術者

 

《良いか悪いか》の二極化した価値観のみで物事を測るのは非常に危ういことで、技術の発展だから勿論、悪い部分もあるけどそれは使う人の使い方次第で包丁にもなるし、崩れて戻れなくなるかもしれないけれど、それだけの理由で諦めてしまうのは簡単すぎる。
粘り強く真実を明らかにしようとする登場人物たちが、同じ空を見上げる画が一致団結している姿の象徴となって、士気が上がる感じがしました。
もし、金子さんが裁判などでの精神的な負荷がなく今も生きていたら、どれだけ面白いものを世に発信していたのかと想像するだけでワクワクしますね。

《出る杭は打たれる》というフレーズが度々作中に出てきますが、そんなスケールじゃなくて、もっと大きくて黒いものに立ち向かってるような気がしました。

そして本筋のWinny事件のストーリーと並行して吉岡秀隆さん演じる警官の、同じテーマの別のストーリーも展開していく演出など、脚本、演出、すべて緻密で物語に厚みを与えていてただの裁判映画になっていないのが面白かったです。色々なことを考えさせられる作品ですが、まずは純粋にストーリーを楽しみなが観て、観終わってから、色々な思いを馳せてみてください!

では、また次回!

ゆーと。

映画観賞:年間200本
将来は映像監督めざしています!

初の短編映画製作しました。

Twitter @yutomiyake

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作品概要

【ストーリー】2002年、開発者・金子勇(東出昌大)は、簡単にファイルを共有できる革新的なソフト「Winny」を開発、試用版を「2ちゃんねる」に公開をする。彗星のごとく現れた「Winny」は、本人同士が直接データのやりとりができるシステムで、瞬く間にシェアを伸ばしていく。しかし、その裏で大量の映画やゲーム、音楽などが違法アップロードされ、ダウンロードする若者も続出、次第に社会問題へ発展していく。次々に違法アップロードした者たちが逮捕されていく中、開発者の金子も著作権法違反幇助の容疑をかけられ、2004年に逮捕されてしまう。サイバー犯罪に詳しい弁護士・壇俊光(三浦貴大)は、「開発者が逮捕されたら弁護します」と話していた矢先、開発者金子氏逮捕の報道を受けて、急遽弁護を引き受けることになり、弁護団を結成。金子と共に裁判で警察の逮捕の不当性を主張するも、第一審では有罪判決を下されてしまう…。そして、運命の糸が交差し、世界をも揺るがす事件へと発展する――。

作品名: Winny
監督:松本優作
出演:東出昌大 三浦貴大 渡辺いっけい 吹越満 吉岡秀隆 吉田羊
公式サイト: https://winny-movie.com/
公式Twitter: @winny_movie
日本/2023/127分
©2023映画「Winny」製作委員会



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