木洩れ日の家で

91才の老女と白黒の犬が主演の映画。

芸歴80年を超えるポーランドの大ベテラン、ダヌタ・シャフラルスカを主演に迎えた心にしみる人生賛歌。
人生の喜びも悲しみも知り尽くした女性が、素晴らしい終幕を迎えるために奮闘する様子を陰影に富んだモノクロームの映像でつづります。現代ポーランド映画の傑作!

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モノクロームで描かれる本作は、犬の視点?!
犬は色の判別ができないでしたっけ。
ハチ公物語のリメイク「HACHI」も犬の視点で描いたシーンがありました。そこだけモノクロだった。
若き日の甘美な思い出、忍び寄る人生の最後、彼女の孤独など語るのにぴったりのモノクロームです。
モノクロでシニア映画というと暗いイメージがありますが、
このおばあちゃん、めちゃくちゃ元気なのです。
引きこもってはいますが常に双眼鏡で、両隣の様子をうかがっている。
それを観ては、表情のみで怪訝な顔をしたり、楽しそうに笑ったり。
どうやらおばあちゃんは、愛人を抱えた成金であり、おばあちゃんの家を買い取りたいというお隣さんが大嫌い。
もう一方のお隣さんは子供相手に音楽教室を主宰する若いカップルで好ましくおもっているようです。
教室に通う生徒たちを自分の息子の子供時代に重ね合わせたりして楽しかった日を思い出し、美しい回想シーンが時折挟みこまれます。
犬のフィラディルフィアもおばあちゃんからひとときも離れず、面倒をみているよう。
電話が鳴れば、かけよって受話器をさわり、見知らぬ人が訪ねると吠えまくる。そしておばあちゃんと
犬のフィラディルフィアとの会話(犬は話しませんが)は、日常的なことなんだろうけど面白くてクスクスわらってしまいました。
犬や猫を飼っているひとならきっとその心境をよくわかるはず。そう、彼らはじっと話をきいてくれますものね。
犬の表情がすごくいい!おばあちゃんに気にしながらカメラ目線してるのもかわいい。
でぶっちょの孫娘にあばら家といわれ老朽化した家は、隅々にまで膨大なおなばあちゃんの記憶が堆積され、ゴシック・ホラー映画の精霊の気配すら感じさせるすごい存在感。
家も主人公のひとつですね。
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それにしてもおばあちゃんを演じた現在は95才のダヌタ・シャフラルスカさんの演技は一時も目が離せません。どちらかというと舞台女優さんですからね、1人演技(犬との)は迫力あるわ〜。
この映画を機に映画出演のオファーが増えているそうです。


木洩れ日の家で6月4日名演小劇場にて公開。


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