科学では解明できない事件は、探究心をくすぐります。それが怪奇現象なら尚のこと興味深く、映画やドラマの題材としては打ってつけ。Netflixで配信時、話題を読んだ台湾ホラー映画『呪咀』（22）も、実際の怪事件をモチーフにして生み出されたもので、現在公開中の『紅い服の少女』もある心霊番組で紹介された動画から生まれた物語なのです。

実は本作『紅い服の少女』も台湾映画。これも信仰心の強い国だからなのか、『呪咀』のように宗教に絡んだその道の神を絡めた物語が、観客の私たちにとっては邪神VS人間として楽しめるポイントな気がします。

そんな『紅い服の少女』は二部構成の映画。しかも第一章「神隠し」の制作は実は2015年、このシリーズが興業的に成功を収め、その後、学校で時代に閉じ込められるホラー『返校 言葉が消えた日』（19）や、謎の伝染病で人が凶暴化する『哭悲／The Sadness』（21）、先に挙げた『呪咀』(22)などが作られたようです。では一体どんな物語なのでしょうか？それは、ある青年の祖母の失踪事件から始まります。実はその前にも祖母の友人が失踪しており、この事件をきっかけに若いカップルが真相を調べ始めるのですが、次々に怪奇現象が起こるのです。やがて、山に住む魔物・魔神仔（モーシンナア）の仕業では？という話になりますが……。

その後の物語が、第二章「真実」として描かれ、映画は2017年に公開された台湾映画年間興行成績第１位を獲得！だって、第二章では、魔神仔（モーシンナア）VS別の神、まで話は展開し、この事件のそもそもの原因を探るミステリーとしても極上の味わいを見せているんだから。神の力を使って戦う霊能者と魔物との対決が台湾の風土とマッチして神秘的に描かれる様は、暗がりの映画館でしか堪能し尽くせない作風なんです。しかも、子役も演技がえらく上手い！この物語の原動力になっているのは、子どもへの強い愛や、愛する人を救いたいという普遍的な感情です。それがここまでのヒットを招いた理由として挙げられるのではないでしょうか？だって泣けるんだから、この映画、物語を知れば知るほどね。