カンヌ国際映画祭女優賞受賞、米アカデミー賞®脚本賞&国際長編映画賞ノミネートなど、世界的に高く評価されているこの映画。
観る前から好きな予感がしてたけど、予感的中!
やっぱり大好きな作品だった。
主人公は頭も良く文才もあるけれど、これ!という道が定まらない30歳のユリヤ。
自分を活かせる道を探している割に、特別に努力しているわけではなく。
成功した年上の彼の横で堂々と笑える自信はないけれど、全てを受け入れ許してくれる優しいだけの彼では満足できない。
こう書くと、自己評価が高いだけのどうしようもないヤツに感じるけど(苦笑)、私には理解できるところが多くて、自分の気持ちにウソをつかない正直な人に見えた。
打算や諦めではなく、その時々の自分の気持ちに従って、人生を選択していくユリヤ。
何が正解かなんてわからない。でも自分の気持ちを大切にしていれば、例え選択を間違えても後悔も含めて受け止められるし、人生は充実したものになるはず。
キャリア、恋、結婚、出産と悩みはつきず、大きな決断を迫られることが多い20代後半~30代前半。
そんな人生のターニングポイントで揺れる女性の本音を、ここまでリアルに描いた作品って、ありそうでなかったかも。
しかも男性のヨアキム・トリアー監督が撮ったんだからビックリ。
感情の揺れを映し取った繊細で美しい映像、ユリヤが新しい恋へ走り出す妄想シーン、マジックマッシュルームでのトリップシーンをはじめユニークな表現も最高!
ユリヤの成長と変化を演じたレナーテ・レインスヴェも魅力的。
さて今回の写真のアイテムは、写真家になろう!と思い立ったことをきっかけに、ユリヤの新しい世界がひらけていくということで、カメラをチョイス。
元彼アクセルが子ども時代を過ごした家で写真を撮るシーンでの、赤、青、黄色の窓ガラス越しに世界を見るというエピソードもステキだったので、今回の写真は青いフィルムを使って撮ってみた。
『わたしは最悪。』 (英題:The Worst Person In The World) 7月1日(金)Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ他全国順次ロードショー © 2021 OSLO PICTURES - MK PRODUCTIONS - FILM I VÄST - SNOWGLOBE - B-Reel – ARTE FRANCE CINEMA 2021年 /ノルウェー、フランス、スウェーデン、デンマーク/カラー/ビスタ/5.1ch デジタル/128 分/字幕翻訳:吉川美奈子/後援:ノルウェー大使館 /R15+ ◆監督:ヨアキム・トリアー 『テルマ』(17)、『母の残像』(15) ◆出演:レナーテ・レインスヴェ、アンデルシュ・ダニエルセン・リー
[フォトdeシネマ]
映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ) 映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。 朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。 映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲