プレシャス

映画『プレシャス』は今年の賞レースを賑わせた一本。

オスカーでは作品、監督、主演女優、助演女優、脚本賞とノミネートされ助演女優賞と脚本を獲得。

主人公クレアリース”プレシャス”ジョーンズを演じたガボレイ・シディベの規格外な演技と体型にやっとお目にかかれた。

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映画の途中も、終わったあとも唖然として言葉がでない。

こんなに体力消耗した映画は久しぶりです。

80年代のニューヨーク。ハーレムを舞台にした実話で、最悪な境遇の少女が新しい視点を得ることにより再生していく話。

10代の妊娠、近親相姦、貧困に就学問題、ドメスティック・バイオレンスと壮絶な内容なのだ。これだけ聞くと、携帯小説か?と思うよね。

同じような境遇で育ったアメリカエンタメの和田アキ子、オプラが大プッシュしているのです。そういえば主演賞の応援演説にきてましたものね。

それとミュージック界からはレニクラとマライアも出演しているのですが、

あまりにも違和感なく、自然で驚いた。福祉課のソーシャルワーカーと看護士役です。

監督のリー・ダニエルズは自身の過去の体験が原作とあまりに酷似している事に衝撃を受けたそう。

 リー・ダニエルズは、ハル・ベリー主演の『チョコレート』、子供に性的いたずらをした罪で刑務所に入っていた男をケヴィン・ベーコンが演じた『THE WOODSMAN』と、問題作を世に送り出している意欲的なインディペンデント系映画のプロデューサー。今回、黒人としての初の監督賞ノミネートとなったのです。

お得意の幻想的な映像を交えながら物語を語るスタイルは原作の意識の流れという文体にぴったりはまっています。

 主人公プレシャスは大きな体を持っているため、実は虐待を続ける母にも抵抗するのは可能。しかし、常にされるがままなのは、彼女は人を傷つける事が嫌いなんだとおもう。だから彼女は父親に犯されている時も逃げ出したい時も頭の中で自分がハリウッド女優になったり、イケメンとデーとしたり、テレビの中にいたりと妄想することによって現実逃避をするのです。「頭の中にほんとうのわたしがいる」。悲惨な現実だから彼女が憧れる華々しい世界が逆に切ない。

ハーレムではこのような境遇の子供たちも年々少なくなっているというけど、

実際はどうなんだろう。

友人のライターおなべちゃんが映画の途中に飴を食べようとしたが、

唖然と見入ってしまいとうとう最後まで食べれなかったといっていた。

私もノートをとる手がなんど止まったことやら。オデブちゃんもすごかったけど、

助演賞に輝いた母親役も強烈。フリースクールの先生、友人達も素晴らしかったので、できることなら今年の助演賞を全員にあげたいとおもった。

4月24日公開です。

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おいしい映画祭

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