伊藤沙莉、主演映画『風のマジム』名古屋舞台挨拶に登壇!「好きという気持ちを大切にしてもらえたら」

伊藤沙莉主演作『風のマジム』名古屋舞台挨拶レポート

伊藤沙莉「人の温かさを感じる作品」
芳賀薫監督は初監督に込めた想い語る

9月12日に全国公開初日を迎えた映画『風のマジム』の舞台挨拶が14日、名古屋のミッドランドスクエアシネマで行われ、主演の伊藤沙莉さんと芳賀薫監督が登壇。撮影の裏話や作品に込めた思いを語りました。

3連休の中日にも関わらず多くの観客がかけつけ、上映後の熱気に包まれた会場を見渡しながら「名古屋のみなさんの空気は、いつも柔らかくて温かい。すごく立っていやすいなって思っています。今日は楽しんでいって下さい」と挨拶した伊藤さん。

チームの絆で作り上げた温かい現場

撮影現場の雰囲気について尋ねられると、伊藤さんは「すごく仲が良かったと思います。ものづくりはチーム戦なので、みんなが同じ熱量で同じ方向を向いていることが大切。監督がアイデアを思いついた時に、ちゃんと時間を使って話し合う。みんなで力を合わせて作っていけた感じがあって、すごく絆が生まれる、居心地のいい素敵な空間でした」と振り返りました。

監督は普段撮っているCMとの違いを聞かれ「サッカーと相撲ぐらい違います(笑)CMはゴールを目指して綿密に計画を立てて進みますが、映画は役者さんが予想を超えてくる瞬間がある。そういう時は、計画通りではなく全然違う選択をしたほうがうまくいく。素晴らしい役者のみなさんのおかげで、いろんなことを吸収しながら作った現場でした」

芳賀監督は、主人公・まじむ役のオファー理由を「特別な才能を持つスーパーな人ではなく、どこにでもいる普通の女の子。他の人の発言や行動をきちんと受けてお芝居をされる伊藤さんの(取り組む)姿勢が素晴らしいと思っていたので、ぜひお願いしたいと思いました」と明かしました。

オファーの際に監督から長文の手紙を受け取ったという伊藤さんは、「内容はもとより、その行動に“まじむ”を感じました。その、熱量や思いが手紙からも伝わってきて、この人とチームで頑張ってみたいと。初めての経験だったのでとても嬉しかったです」と、心を動かされたことを語りました。

“真心”が通った瞬間

「まじむ」とは沖縄の方言で「真心」を意味します

本作のテーマである「真心(まじむ)」にちなみ、「心が通ったと感じたエピソード」を質問されると、伊藤さんはクライマックスのプレゼンテーションのシーンを挙げ、「沖縄ご出身の役者さんたちを前にした時、お一人お一人の目を見ているだけで泣きそうになって。皆さんの故郷への思いが目に溢れていて、プレゼンに対しても、真から受け止めてくださっている感覚があって、自分のまごころと皆さんのまごころが合流したような。忘れられないひとときになりました」と、撮影を超えた心の交流があったそう。

一方、監督は祖母役を高畑淳子、母役を富田靖子が演じる家族のシーンに言及。「おばあがまじむに豆腐の作り方を見せるシーンで、『大事なこと忘れたらならんの』と言ったあとにニコッと笑うんです。それは職人を超えて、可愛い孫に期待している人の姿で、きっとそこが真心なんだと感じました」と語りました。

さらに、その撮影時にはロケ地の豆腐屋の店主が涙していたというエピソードも披露され、真心が連鎖していく作品のテーマと重なる温かい現場の様子が伝えられました。

食事のシーンについて「全部おいしいんですよ!南大東島でそばを食べるシーンは、普通に食事してました(笑)」と伊藤さんは明かす。

自分の中に生まれた『好き』という気持ちを、気負わずに大切にして過ごしたら、結構幸せなんじゃないかな

最後の挨拶で、芳賀監督は52歳で本作が初監督作品であることに触れ、「普通の女性が少しずつ成長する物語。皆さんも、ちょっと踏み出してみるとか、誰かを支えるみたいなことを思い出してもらえたら嬉しいです」とメッセージを送りました。

伊藤さんは、鑑賞者からの「好きという気持ちに、迷いなく前を向き続けたい」というSNS投稿に触れ、「自分の中に生まれた『好き』という気持ちを、気負わずに大切にして過ごしたら、結構幸せなんじゃないかなと思います。この映画を見て、そういう温かい連鎖が巻き起こるといいなと思っています」と語ると、「今日はこの後、おいしい名古屋飯を食べて一杯やりたいと思います!」と笑顔で締めくくり、会場は温かい拍手に包まれました。

こぼれ話


最後、観客に向けて行われたフォトセッションでは、ひとりひとりに目線を向けたり、表情をかえたり、本当に楽しそうに観客と心の交流を楽しんでいた伊藤さん。もう、そろそろ…のMCの声に、「もう少し…」と手をふりまくる場面も。まさに「まじむ」なひとときでした。映画『風のマジム』は全国公開中。ぜひ、映画館で素敵なひとときをお過ごし下さい。

取材・文 にしおあおい(シネマピープルプレス編集部)
『風のマジム』

映画『風のマジム』作品紹介
沖縄のサトウキビで特別なラム酒をつくる――

ひとりの夢がたくさんの想いを巻き込み、大きな風を吹かせていく、爽やかで愛おしい物語。

真心のしずくが、優しく沁みていく。

累計発行部数14万部を突破した原田マハの小説「風のマジム」を、NHK連続テレビ小説「虎に翼」で主演を務める伊藤沙莉を主演に迎え、待望の映画化。沖縄のサトウキビからラム酒を作るという夢を実現するため、契約社員から起業した女性の実話に着想を得た、爽やかで愛おしい成長ストーリーです。

監督は、数々のCMで非凡な才能を発揮してきた芳賀薫が務め、本作が長編映画初監督作品となります。

作品データ

【ストーリー】那覇の豆腐店で祖母と母と暮らす伊波まじむ(伊藤沙莉)は、通信会社で働く契約社員。これといった夢もなく、漠然とした不安を抱える日々を送っていました。ある日、社内ベンチャーコンクールの募集を見つけ、時を同じくしてバーで出会ったラム酒の魅力に取り憑かれます。その原料がサトウキビだと知ったまじむは、「純沖縄産のラム酒」を作る企画でコンクールに応募。契約社員で唯一、第一次審査を通過しますが、それはやがて家族、会社、そしてサトウキビの産地・南大東島の島民をも巻き込む一大プロジェクトへと発展していくのでした。

伊波まじむ: 伊藤沙莉
後藤田吾朗: 染谷将太
儀間鋭一: 尚玄
糸数啓子: シシド・カフカ
仲宗根光章: 橋本一郎
知念冨美枝: 小野寺ずる
朱鷺岡明彦: 眞島秀和
東江大順: 肥後克広
瀬那覇仁裕: 滝藤賢一
伊波サヨ子: 富田靖子
伊波カマル: 高畑淳子

監督: 芳賀薫
原作: 原田マハ「風のマジム」(講談社文庫)
脚本: 黒川麻衣
主題歌: 森山直太朗「あの世でね」(ユニバーサル ミュージック)
製作・配給: コギトワークス
共同配給: S.D.P
| 公式サイト | https://majimu-eiga.com/ |
| 公式X | @majimu_eiga |
| 公式Instagram | @kazenomajimu_movie |
©2025 映画「風のマジム」 ©原田マハ/講談社

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