横道世之介名古屋キャンペーン
妙に図々しいけどやたら人がいい。そんな不思議な魅力をもつ横道世之介。
たとえば、小学生の時仲良かったけど今は学校も違うから会うこともない。でも、ふとした瞬間に思い出す人っていませんか?
舞台は1987年。景気が右上がりのいわゆるバブル期です。信じられないだろうけど、就職率100%、内定したらその企業から接待を受けるなど”オイシイ”時代だったわけ。この映画の主人公世之介はそういう人種とはちょっと違って長崎から上京してきた素朴な青年・横道世之介。入学式に知り合ったお調子者の倉持(池松壮亮)にさそわれてなぜか興味もないサンバサークルに入る世之介。人違いから仲良くなった加藤(綾野剛)に誘われダブルデートをすることに。そこで知り合った超お嬢様の祥子(吉高由里子)との日常が世之介に変化をもたらせていきます。大人になってしまえば一笑するようなことが大問題にさえ思えてしまう思春期。本作は、誰もが一度は経験する時期をさりげなく瑞々しくスクリーンに映し出していくのです。
ユーモアと人生の機微を織り込んだ物語は、どの時代にも通じる普遍的なことでかつての自分を重ねながら見入ってしまった。高校の友だちとは一年に一度必ず会いますが、その際(毎年同じ話)「そういえばB組のM男って子いたよね」、といつも話題の中心になる子がいる。
目立っていたわけでもなくすごく普通なんだけど、なぜかみんなの記憶に残っている子。それこそが横道世之介なのです。桐島部活やめるってよ。につづく凡人映画の傑作。
愛おしく抱きしめたくなるような青春映画の一本です。