『茶飲友達』
東京で大ヒット中の話題作が名古屋でも公開に!
『燦燦ーさんさんー』『ソワレ』の外山文治監督が、2013年に起きた高齢者売春クラブ摘発のニュースに着想を得て撮ったというこの映画。
高齢者売春クラブ「ティー・フレンド」に関わる若者と老人を通して、様々な問題を浮き彫りにした社会派群像劇。
個人的には高齢者の買春、売春、性欲に対して嫌悪感みたいなものがあったけど、「みんなで除け者にして、タブーにするから寂しい人が増えていく。正しいことだけが幸せじゃない」というセリフにドキッとした。
渡辺哲が悲哀を滲ませて演じる老人をはじめ、孤独な高齢者たちの姿がなんとも切なくて。
パートナーに先立たれたり、家族と疎遠になったり、それぞれの事情を抱えた高齢者たちと、未来に希望が持てない世の中で、自分の居場所と家族の温もりを求める若者たち。
彼らが直面する現実は甘いものではないけれど、温かな触れ合いは確かにあって、救われている人もいた。
違法だから悪いと決めつけていいんだろうかと
複雑な気持ちに。
何が正解かはわからないけれど、老後の生き方や家族の在り方について考えさせられた。
主人公のマナを演じた岡本玲をはじめ、ワークショップを経て選出されたという2世代のキャストもみな素晴らしかった。
さて今回の写真のアイテム。
ひとつは何の捻りもなくお茶。
そしてもうひとつはティー・ガールズになる松子が、マナと出会うきっかけになった半額シールのついたおにぎり。
半額というのがまた切ない…。
「茶飲友達」公開中!
2022年製作/135分/PG12/日本
配給:イーチタイム
映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。 朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。 映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲