命をかけ追い求める夢の先にあるのは
心震わす映画体験を
先日、ちょっとした思いつきで書いた映画紹介が、想像以上に好評だったので、今回もこのスタイルで紹介させていただきます。
こんにちは、シネピーです。
本日公開の映画『国宝』が、ちょっととんでもない映画だったので、しばしの時間おつきあい下さい。
まず度肝を抜かれたのが、その映像の美しさ!「息を呑むってのはこのことか!」っていうくらい、それはそれはドラマチックで震えがくるほど綺麗なんです。
スクリーンに映し出される歌舞伎の舞台、役者さんの立ち姿、緊張感、その細かい表情のひとつひとつが、繊細で絵画的で、なのにものすごい迫力なんです。芸の世界の奥深さに震えてしまいました。
さて、このお話の主人公、喜久雄さんは九州の任侠の家に生まれるんですけど、15歳の時に天涯孤独になってしまうんですね。
そんな彼を「この子にはとんでもない才能がある!」って見抜いた上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎さん、これを渡辺謙さんが演じてらっしゃるんですけど、彼がお家に引き取るんです。
そこには、半二郎さんの跡取り息子で、横浜流星さんが演じる俊介くんっていう子がいて…。

喜久雄と俊介の若き日を演じる黒川想矢さんと越山敬達さんのみずみずしい演技にも注目
この喜久雄さんと俊介くんが、まるで本当の兄弟みたいに育って、親友として、でも一番のライバルとして、切磋琢磨しながら歌舞伎に青春を捧げていくシーンに、グッとくるんです。
ところが、ある事故を機に、ふたりの運命の歯車が、大きく大きく動き出す。それは、ふたりにとって孤独の中で芸と向き合うことでもあり、乗り越えなくてはならない壁となって立ちはだかります。
ね、続きが気になるでしょ?
監督は、『悪人』とか『怒り』の李相日監督。原作は吉田修一さん。今回も、人間の深いところをえぐってきますよ。
そして、なんといっても吉沢亮さんと横浜流星さん。この二人が本当に素晴らしいのです。なんでも稽古に1以上もかけたとか。
その美しさと、壮絶さと、ちょっと狂気みたいなものが混じり合った「二人藤娘」とか「二人道成寺」とか…物語の世界とシンクロしていく、舞台シーンは圧巻の一言。スクリーンから飛び出す気迫がハンパなかったです。
しかも、ただ舞台を撮っているだけじゃないんです。カメラの位置とか、光の当て方とかが、隅々まで見事に工夫されていて、まるで特等席で観ているみたいな。普段は、なかなか観ることができない梨園の世界の裏側を垣間見ることができるのもよかったです。
周りを固める役者さんたちも、これまた豪華でね。半二郎さんの奥様・幸子さんを、実際に梨園で生まれ育った寺島しのぶさんが演じてらっしゃるんですけど、これがもう、説得力が違うんですよ。
そして喜久雄さんの恋人・春江役の高畑充希さんも忘れちゃいけません。
ほかにも、森七菜さん、三浦貴大さん、見上愛さんといった実力派が脇を固め、主人公たちの若き日を演じた黒川想矢さんと越山敬達くんの瑞々しい演技も光っていました。
でもね、やっぱりすごいのはベテラン勢。特に田中泯さんの、ただそこにいるだけで空気が変わるような存在感と、渡辺謙さんの画面からあふれ出すような気迫といったら!主役の二人と渡辺さんが対峙するシーンはドキドキがとまらなかったです。
脚本は奥寺佐渡子さん、撮影は『アデル、ブルーは熱い色』のソフィアン・エル・ファニさん、美術はあの『キル・ビル』の種田陽平さんですから。
そりゃあ、映像が美しいはずだわって、観終わってからなんだか納得しちゃいました。
正直な気持ちを告白すると、観る前は「2時間55分かぁ、ちょっと長いなあ〜」って思ったんです。
ところがどっこい!そんな心配、全然いりませんでした。もうね、あっという間!
天賦の才を持つ喜久雄さん
名門の血を持つ俊介さん
ふたりが持つものと欲するもの
その葛藤を見ていると…
本当に胸が締め付けられます。
ぜひ大きなスクリーンで絢爛豪華な世界と残酷すぎるほど胸を締めつける壮絶なドラマを体感してほしい作品です。観終わった後、きっと誰かと語り合いたくなりますから!
6月6日(金)よりミッドランドスクエアシネマほか、全国東宝系にてロードショー
さて、シネピーでは、映画『国宝』の魅力をもっともっと語りたいと題して、応援企画を実施。映画の感想や好きなシーン、好きな演目、推しポイントなど、映画『国宝』に関することならなんでもオッケー。
投稿してくれた人の中から抽選でオリジナルTシャツを2名様にプレゼントします。ぜひ、たくさんの感想をお待ちしています。
応募方法
■ 応募方法
1. シネマピープルプレス公式Twitterアカウント(@cinemarest1103)にアップされている対象の投稿に #映画国宝 のタグをつけ、期待感想コメントを投稿のうえ、投稿をリポスト。
※ お寄せいただいたコメントは、記事の中でご紹介させていただく場合もあります。
キーワード:#映画国宝
■ 抽選 当選者は、期間中にご応募いただいた方の中から、厳正な抽選により決定いたします。
■ 締切 2025年6月22日(日)
作品紹介
【ストーリー】後に国の宝となる男は、任侠の一門に生まれた。
この世ならざる美しい顔をもつ喜久雄は、抗争によって父を亡くした後、
上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へ飛び込む。
そこで、半二郎の実の息子として、生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介と出会う。
正反対の血筋を受け継ぎ、生い立ちも才能も異なる二人。
ライバルとして互いに高め合い、芸に青春をささげていくのだが、多くの出会いと別れが、運命の歯車を大きく狂わせてゆく…。
誰も見たことのない禁断の「歌舞伎」の世界。
血筋と才能、歓喜と絶望、信頼と裏切り。
もがき苦しむ壮絶な人生の先にある“感涙”と“熱狂”。
何のために芸の世界にしがみつき、激動の時代を生きながら、 世界でただ一人の存在“国宝”へと駆けあがるのか?
圧巻のクライマックスが、観る者全ての魂を震わせる。
監督::李相日
原作:「国宝」吉田修一著(朝日文庫/朝日新聞出版刊)
出演:吉沢亮 横浜流星
高畑充希 寺島しのぶ 森七菜 三浦貴大 見上愛 黒川想矢 越山敬達
永瀬正敏 嶋田久作 宮澤エマ 中村鴈治郎 田中泯 渡辺謙
公式サイト:kokuhou-movie.com
映倫:PG12
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025 映画「国宝」製作委員会
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