エリコのフォトdeシネマ♪ Vol.89『アイ・アム まきもと』⁣⁣⁣公開中!

阿部サダヲの底知れない魅力にまたまた驚く⁣ 『アイ・アム まきもと』⁣ ⁣

 

『死刑にいたる病』のサイコキラー役を、恐ろしいほど平然と演じた阿部サダヲが、⁣
『舞妓Haaaan!!!』『なくもんか』『謝罪の王様』の水田伸生監督とタッグを組んだ本作。⁣

演じるのは、人知れず亡くなった人を埋葬する市役所の「おみおくり係」牧本。⁣
そう、『川っぺりムコリッタ』で柄本拓がやってたあのお仕事。⁣

と言っても牧本の場合、単なる仕事ではない。⁣
最小限のものしかない部屋で規則正しく質素に暮らし、⁣
亡くなった人に寄り添うことに全てを捧げている。⁣
そんな牧本が、孤独死した老人・蕪木の葬儀に参列者を呼ぶため、⁣
遺品から手がかりを辿っていく。⁣

牧本と様々な人たちとの出会い、⁣
少しずつ見えてくる破天荒に生きた蕪木の愛と優しさ、⁣
そして牧本自身の変化にグッときた。⁣

例え一人寂しく亡くなったとしても、必ず出会ってきた誰かがいて、生きてきた軌跡がある。⁣
どんな最期を迎えても、想ってくれる誰かがいれば、決して孤独じゃないし救われる。⁣
そんな優しいメッセージが伝わってきた。⁣

「死」を扱いながら暗くならず、ユーモアと温かさを感じさせてくれるのは、『川っぺりムコリッタ』と同じ。⁣
元になった映画『おみおくりの作法』は観逃してたけど、俄然観たくなった。⁣

牧本のバッググラウンドや、蕪木の過去を直接的に描かず、⁣
過剰な説明を入れない想像の余地があるところも好み。⁣
描かれない部分を演技で感じさせてくれるキャストたちもお見事!⁣

 

 

 

察しが悪く、空気が読めず、こう!と決めたら猪突猛進。⁣
純粋で真っ直ぐでユニークな個性を持つ牧本を、自然に演じてしまう阿部サダヲ。⁣
『死刑にいたる病』では深い闇を感じさせた大きな眼も、今回は曇りなく見える。⁣
一体、この人は何者なんだ!?⁣
そんな本人のミステリアスなところも、牧本のキャラクターにピッタリ。⁣

蕪木への複雑な想いを言葉と表情で物語る、⁣
満島ひかり、宮沢りえ、國村隼の演技も絶品。⁣
個人的には「大人計画」主宰・松尾スズキと、看板役者・阿部サダヲの掛け合いがツボでした。⁣

さて今回の写真のアイテムはティーカップ。⁣
食事はいつも立ったまま。⁣
フライパンや炊飯器から直接食べ、⁣
飲むのはコップの水。⁣
味気ない暮らしをしていた牧本の変化が、ティーカップに表れていた。⁣

そしてここからはネタバレありの感想なので⁣
映画を観た方のみお読みください。⁣

↓ネタバレ注意⁣

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蕪木の人生を辿る中で、小さな命の温もりに触れ、日常のささやかな喜びを知り、視野も世界もぐんと広がった矢先の死…⁣
衝撃的すぎて心の中でイヤだー!と絶叫。⁣
牧本が人生を豊かにする楽しみを知らず、いつものように注意深く信号を渡っていたら、事故に遭わなかったかも知れないなんて…⁣
それでも幸せだった、とは思うけど、あまりに辛すぎました。⁣

「アイ・アム まきもと」公開中!

本作は、第70回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門で監督賞を含む4賞を受賞したウベルト・パゾリーニ監督・ 脚 本 の 『 お み お く り の 作 法 』( 1 5 ) を ベ ー ス に 、 本 作 オ リ ジ ナ ル の 新 た な 主 人 公 像 と し て 、 阿 部 サ ダ ヲ 演 じ る 強 烈 に ユ ニ ークでオフビートなコミカルさが魅力のキャラクター“まきもと”を造形し『アイ・アム まきもと』として生まれ変わりました。 この秋、ちょっと迷惑な男・牧本が“まき”起こす奇跡の物語が、日本中を優しさで包み込む ― 。

https://www.iammakimoto.jp/

■公開:9 月 30 日(金)全国の映画館で公開

■配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

■コピーライト: ©2022 映画『アイ・アム まきもと』製作委員会

 

映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)

映画館バイト雑誌映画担当映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。

朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。

映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!不定期掲

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