エリコのフォトdeシネマ♪ Vol.84『スワンソング』⁣⁣⁣公開中!

過ぎゆく時の儚さと美しさが胸に沁みる『スワンソング』

白鳥がこの世を去る際に最も美しい声で歌う、という伝説から生まれた言葉『スワンソング』。

そんなタイトルがつけられた本作。
過ぎゆく時の儚さと、人生の美しい締めくくりを描く素晴らしい映画だった!

描かれるのは、老人ホームで隠居生活を送る
ゲイのヘアメイクドレッサー、パットが過去に向き合い、再び人生のステージに上がる旅。

恋人や友人と過ごした幸せな日々と失った辛さ、ヘアメイクドレッサーとしての成功と裏切った人たちへの憤り。

かつて暮らした街を巡る中で、パットが人生で味わった喜び悲しみ、かけがえのない思い出が浮かび上がってくる。

切なさと温かみとユーモアを、絶妙なバランスで織り交ぜながら、ゲイであることの生きづらさや変わりゆく文化への憧憬もさりげなく描いていて巧い。
パット心情とリンクする音楽もステキで、サントラが欲しくなった。

さらにパットのキャラクターがいい!
ほとんどお金も持たず、スウェット姿で街をウロつく姿はめちゃくちゃ怪しいのに、チャーミングなキャラクターで出会う人たちを魅了して、パット自身も輝きを取り戻していく。
個性的なスーツの着こなしも、ゲイクラブでのハジけっぷりも、すべてが愛おしくて、パットのことが大好きになってしまった。
演じたウド・キアも最高の演技。

ちなみにパットのキャラクターは、トッド・スティーブンス監督が17歳の時にゲイクラブで踊っているのを見て、衝撃を受けた実在の人物ミスター・パットをモデルにしているそう。

 

 

 

 

さて今回の写真のアイテムは指輪。
恋人のデビッドから贈られた思い出の指輪をはめて街に出たパット。
ゴージャスな指輪はパットにピッタリでした。

2021年製作/105分/G/アメリカ
原題:Swan Song
配給:カルチュア ・ パブリッシャーズ

映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)

映画館バイト雑誌映画担当映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。

朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。

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