2月14日V.D 『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』大泉洋さん、小池栄子さんにインタビュー♪

グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』大泉洋さん、小池栄子さんにインタビュー♪

誰もが知っている昭和の文豪、太宰治。

最後に執筆していた小説は、思わず笑ってしまう人生喜劇というのはあまり知られていません。

残念ながら完了することはなく、書きかけの遺作となってしまったこの人生喜劇「グッド・バイ」を、劇作家で演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチさんが、独自の視点で完成させて、舞台で上演したのが2015年。舞台は大評判を呼び、読売演劇大賞で最優秀作品賞、最優秀女優賞(小池栄子)、優秀演出賞に輝きました。

この話題の名舞台が、スクリーンに蘇ります!

2015年舞台の上演時、あまりの人気で行きたくてもチケットが取れず悔しくて

観劇した友人たちから感想を聞いて観た気分になっていました。その後

今作が映画化になると聞いた時はうれしかった〜。

 

映画化にあたり、メガホンをとったのはヒューマンドラマの名手「孤高のメス」「八日目の蟬」の成島出監督。

成島さんが喜劇というのは珍しいです。初期作品の「油断大敵」以来ではないかな。

映画化の企画は、監督が舞台の「グッドバイ」を観劇した際に、小池栄子さんが演じた主人公キヌ子を気に入ったことが、はじまりだったそうです。すでに4本の成島作品に出演している小池さん。監督はかねてから彼女を主演で映画を撮りたいと願っていたところで、原作者であるケラさんに映画化を申し込んだところ、快諾してくださったそうです。

 

映画は、原作の世界観を大切にしつつ、映画ならではのストーリー展開でとなっています。

物語は、終戦後の混乱から復興へと向かう日本。文芸雑誌社の田島編集長は、優柔不断で気弱、かなりのダメ男なのに女性が放っておかないのか、モテモテ。闇稼業でかなりの稼ぎを出している田島は、妻と子どもを疎開先の青森に預けっぱなしで、独身のような暮らしをし、何人もの愛人がいます。

そろそろまともに生きようと、愛人たちとのグッドバイを決意した田島。ところが優柔不断な性格が災いし、自分では別れを切り出せないため絶世の美女に嘘女房になってもらい、愛人たちに別れを言わせようと計画します。大食いで怪力の担ぎ屋の永井キヌ子が実は誰もが振り返るほどの美女と知り、田島はキヌ子に大金を渡し承諾を得て、嘘夫婦のグッドバイ作戦がはじまります。

 

映画の冒頭は、戦後の混乱期の様子を記録映画のようにみせる映像で幕を開けます。

 

主演は、優柔不断なダメ男田島を演じる大泉洋さんと舞台からの続投で当たり役キヌ子を演じる小池栄子さん。

チャーミングな二人の息の合ったコンビは想像以上に面白かった!

そんなお二人に、三重テレビ「シネマクルーズ」でインタビュー。

キヌ子というキャラクターは私の憧れですとお伝えすると、「嬉しいです〜」と小池さん。大泉さんが「女性の記者さんは共感する人が多いのよ〜。どんなところが好きですか?」と私に逆質問。「しっかり芯のある女性で、嫌らしくない女子力があるところ」と答えると、そこからテンプレートな質疑応答ではなく、クロストークなインタビューへ。

大泉さんはいつも、会話形式にしてくださるので取材するのが本当に楽しい。

さらに、今回は小池さんとの掛け合いが超面白い!

大泉さんの独特の話しぶりをじーっと聞きながら、小池さんがつっこんで、さらに話が広がっていくのです。

 

ラブシーンじゃなくてがっかり!?

田島が、キヌ子の部屋にはじめて上がらせてもらうシーンで二人のアクションシーンがあります。

これについて大泉さんは「アクションと聞いてなかったんです。キヌ子とのラブシーンを撮るとおもっていたのですが、現場に行ったら殺陣師の人がいて、驚きましたよ。なんで?って、ラブシーンじゃ?そしたら屈強な方がまずはお手本をと、アクションの型を教えてくださったんです」

「わたしは(小池さん)、タンスを持ち上げ、大泉さんに向かってなげようとしてますしね!」と激しいファイトシーンについて、激しく語ってくださいました。

劇中では小池さんが大泉さんを抱きかかえたりおんぶしたりするシーンも登場します。

小池さんが大泉さんを抱きかかえたり、おんぶした感想をきいてみると「まず肩を壊しました。すぐに大泉さんに、良い病院を紹介してもらったんです(笑)」

すると大泉さんが「おんぶもしたしね、その時は腰が痛いとか重たいとか言っていたね〜」と、お二人には印象に残ったシーンの一つのようでした。

「成島監督とは5回目でとてもリスペクトしているんです。出来ないとは言いたくないので頑張りました」と小池さん。

大泉さんはスタイルが良くて太ってはいませんが、やはり女性が男性を抱きかかえたりするのは負担があったようですが、そこはさすがの小池さん、女優根性発揮ですね。

 

成島監督について

大泉さんは、意外にも成島監督とは初仕事。監督の印象をお聞きしてみました。

「小池さんから、監督は丁寧な演出をされるので時間がかかる。30テイクはあるよと聞いておりました。なので自分が監督の演出に応えられなかったら嫌だな〜と思っていましたが、結果的に撮影はとても早かったんです!」

すると、成島組経験者の小池さんが「いや〜凄いと思いました。すでに大泉さんができあがってインしたんです。ほんとにビックリしました。サスガですよ〜」

大泉さんは「今回は喜劇なのでテンポもよかったのかもね。成島さんの演出が入ると確実に脚本以上に面白くなると、いろんなシーンで芝居しながら思っていました。」

例えば、大泉さんが「グッドバイ」と愛人に言うシーンなどは、「もっと小さな声で!聞こえないくらいの声で」などご指導されたそうです。

お二人のお話から、監督は一つ一つが細かい演出が多く、それがキャラ立ちに反映していくので、二人やその周りの人たちとの絡みが面白く観賞できるのだと納得しました!

 

今回、みなさんの昭和中期ファッションがとても素敵なのです。

昭和モダンのオシャレなワンピースや小物たち、着物の色合わせはお手本にしたいほど。キヌ子のカラフルで品のあるものから、担ぎ屋のモンペなど合わせて衣装は8着。すべて小池さんの体に合わせて採寸し、仮縫いをしたテーラー物。

小池さんはインする前に少し減量したそうですが、大食いのキヌ子という役柄上、劇中でも気持ちいいくらいたくさん食べるシーンが登場します。そのため、後半は衣装がきつくて大変だったことを明かしてくださいました。

キヌ子の食べ方は、品はないけど豪快!そのあたりは舞台とは違う見せ方にこだわったそうです。

そして衣装には必ず尻パットが入っていたことも教えてくださいました。

小池さん曰くこれは監督のこだわりだったとか。「女性は恋をすると綺麗になる=痩せるということだと思うのですが、監督がお尻にこだわったんです。田島の出版社にキヌ子が田島の奥さんとして訪れる時のワンピースは、肉厚のお尻パットをいれているんですよ!」と裏話を教えてくださると、大泉さんがめちゃくちゃ驚いて、「え〜そうだったんだ!尻パットか、知らなかった!もっとお尻を見れば良かったな〜」。小池さんがすかさず「田島はみてたじゃない〜私のお尻!」と返すと、「ああそういえば、監督からキヌ子のお尻を見て!って何度もいわれましたね、そうそう見てるわ」と大泉さん。

尻パットの話だけに“尻に敷かれた旦那さん”のように小池さんにつっこまれる大泉さんの素の驚きが楽しかったです。

 

短い時間ですが、中味の濃いインタビューを終えて、平日の夕方にもかかわらず

瞬殺で完売になった有料先行試写会の舞台挨拶が行われました。

舞台挨拶は、マスコミなしでお二人のファンのみ。

内容はお越しいただいた方のプレミアムなのでこちらでは書きませんが、

20分間お客さまも、私も笑いっぱなしで質問するにも声がひっくり返ってしまった。

大盛り上がりで、終わったあと、劇場の責任者の方がこんなに盛り上がった舞台挨拶ははじめてじゃないですか?とスタッフも興奮ぎみでした。

小池さんはご主人が愛知の出身なので、“ひつまぶし”はよく召し上がるそうです。名古屋にご縁があるのがうれしかった。

大泉さんは、映画の舞台挨拶はご職業と前からおっしゃっており、名古屋キャンペーンのために映画に出演しているとまで名古屋への愛を語ってくださいましたよ。(笑)

今回もお好きな名古屋めしを召し上がったようですよ、

劇中のキヌ子と田島のやりとりと同じく

大泉さんと小池さんは息がピッタリ。まさにゴールデンコンビですね。

 

物語は喜劇からはじまりますが、

天涯孤独で歯を食いしばって必死に生きてきたキヌ子が

田島と出会ったことで人生観、お金の価値観が変わり、人にとっての“大切なもの”を見つけていくのです。後半のキヌ子は、外見だけじゃなく内面からにじみ出る美しさを放っています。余分なお金を持ったことで愛人をたくさんつくってしまった田島ですが、彼はもともと純粋な人。最初はキヌ子と水と油で住む環境も価値観も違っていましたが、徐々にお互いのよいところをリスペクトし合う。これってリアルな夫婦と同じだと思いました。私はこのキヌ子の親友になったような気持ちになり、ずっと二人を見ていたい、グッドバイしたくないと思った映画でした。ぜひみなさんも映画館にキヌ子と田島に会いに行ってくださいね。

 

2月14日金曜日〜公開

「グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~」

 

配給:キノフィルムズ

 

監督:成島出

脚本:奥寺佐渡子

原作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ(太宰治「グッド・バイ」より)

 

出演:大泉洋 小池栄子 水川あさみ 橋本愛 緒川たまき 木村多江

松重豊 濱田岳

 

(C)2019「グッドバイ」フィルムパートナーズ

 

衣装提供

DAKS/三共生興ファッションサービス(株)  TEL 03-5651-7891

おいしい映画祭

アーカイブ