エリコのフォトdeシネマ♪ Vol.136『コヴェナント/約束の救出』

ガイ・リッチーのセンスが光る社会派ドラマ 『コヴェナント/約束の救出』

2/23(金・祝)より公開中

ひねりの効いたストーリー&スタイリッシュな映像のクライム・アクションを
手掛けてきたガイ・リッチーが、戦争映画に挑戦!

なんか意外!?と思ったけれど、本人は以前から戦争映画に取り組みたいと思っていて、アフガニスタンでの戦争と、
アフガン人通訳者に関するドキュメンタリーを見て心動かされ、本作を撮ろうと決めたそう。

9.11同時多発テロ以来、アメリカは、多数の兵をアフガニスタンに派遣。
現地では5万人のアフガン人通訳が雇われ、アメリカへの移住ビザが約束されていたという。

映画で描かれるのは、タリバンの武器や爆発物の隠し場所を探す部隊を率いる
ジョン・キンリー曹長と、新たなアフガン人通訳として雇われたアーメッドの物語。

誰がタリバンと繋がっているか、いつ襲われるかわからない中で遂行される任務の緊張感は凄まじく。
爆発物製造工での激しい攻防、次々と湧いてくるタリバンからの逃亡劇と、緊迫した戦いが連続。

そして後半では、味方の助けもなく、険しい自然が立ちはだかる絶体絶命の状況下で、決して仲間を見捨てない男と、
命を助けられた恩義に報いようと再び危険に飛び込んでいく男のシビレるドラマが展開する。

ガイ・リッチーが見聞きした実際のエピソードにスリルと感動を巧みに織り込み、
センスあふれる映像&キレのある演出で、エンタメ感ありの社会派ヒューマンドラマに仕上げた手腕はさすが!

その中でアメリカにいいように使われるアフガン人通訳たちのシビアな現実が伝わってくるのも見事。

『コヴェナント』とは契約という意味。アフガン人通訳に、移住ビザを約束しながら守らないアメリカへの皮肉?

約束の救出という副題がついているけれど、主人公のキンリー曹長と通訳アーメッドは、何かを約束したわけではない。
ただ目の前の命を救うために戦う男たちの姿に心打たれる。

さて、今回の写真のアイテムは肉。
ガイ・リッチーの『ジェントルメン』で和牛をピックアップしたけれど、
なんと本作でも肉を焼くシーンが!しかも2度も!
ガイ・リッチーって肉が好きなのかな(笑)

原題:Guy Ritchie’s the Covenant
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2024年2月23日

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映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)

Twitter @onabe11
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。
朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。
映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲載

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